地元塾の必要性とは? 指導歴50年の「稲門ゼミ」山本孝之さんインタビュー

2021年3月17日

大手塾が目立ち、地元塾の減少が進んでいる塾業界。「大手のほうが安心」「面倒見の良い地元塾のほうがいい」――。さまざまな意見が飛び交うなか、肝心の地元塾自体はどう考えているのでしょうか?

現状の塾事情への見解をお聞きしたいと、地域で約50年という「稲門ゼミ」を主宰する山本孝之さんを訪ねました。

山本さんから聞けた話は、予想していた「塾の生き残り問題」とは違う意味での“危機感”でした。

地元で「稲門ゼミ」を約50年主宰する山本孝之さん

 

「学習」を通して人間教育をするのが塾の本来の役割

「『私塾』とは本来、生き方まで教えるところのはずです。
課題に向き合い、克服し、目が見開かれる。その繰り返しで『人間力』を鍛える。それこそが、学習・習得の重要な目的の一つなのですから」

指導歴約50年という「稲門ゼミ」主宰の山本孝之さんは、開口一番、「塾」の存在意義についてそう口にされました。

一時期は西東京市を中心に5教室を開いたという山本さんですが、現在は保谷こもれびホール近くの1教室のみに縮小しています。
背景にあるのは、いうまでもなく少子化です。
そして、地元塾とは対照的な大手塾の存在です。

「大手塾の合併が急激に進み、資本力を武器にした寡占化が進んでいます。もちろん、それ自体は経営手法なので構いません。
問題は、現代の傾向として、時間のかかる基礎力養成よりも解答テクニックに重点を置くという“効率化”が目立つことです」

そうした“効率化”は、これまで山本さんが避けてきたことだといいます。テクニックで加点しても、自ら学ぶ力や気付く喜びは得にくいからです。

同塾の事務室には、指導理念として「教えるのではない。分からせるのです。心に点火させるのです」の文字があります。
一言でいえば「生きる力」を育てる指導ですが、山本さんがそう考える根底には、自身の少年時代の体験があるそうです。

「大型台風で田畑が流され、とても貧しい時代がありました。あのとき『人間力』の重要さを痛感したのです」

そんな山本さんにとっては、私塾の開業はごく自然な成り行きでした。

「地域に暮らす大人が地域の子どもを育てる。そういう地元塾が消えてはいけません」

そう話す山本さんは、小~高生への進学指導はもちろん、

◎英語で受験できる中学校の受験対策コース
◎バイリンガルによる英会話教室(各年代)
◎大学生・社会人など対象の英字新聞クラス
◎医学部志望者コース

など、多世代が集まる仕掛けをさまざまに行っています。
もちろんそこには、学習を通じた人格形成、生涯学習への思いもあります。

「経営の危機より恐ろしいのは、子どもの成長が伴わない成果主義。それを食い止められるのは、やはり地域です」

そう語る山本さんの言葉は、「単に塾だけの事象ではないな」と胸にしみました。

なお、同塾では生徒を随時受け入れています。

小学生低学年からの学習指導のほか、中学・高校受験対策、上記の医学部志望者や社会人向けコースなど多彩に用意しています。
料金など詳細は直接お問い合わせください。

なお、山本先生からの「稲門ゼミ」の紹介を、動画にも収録しています。
ご参照ください。

動画(1分57秒)


【取材協力】
稲門ゼミ 042・422・1929
西東京市泉町3-12-23 (エコプラザ西東京そば)
公式サイト
toumon@jp.bigplanet.com

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